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2024/10/29

事業者:千葉県袖ケ浦市

転圧や植栽など議論/基本設計取りまとめへ/袖ケ浦市 山野貝塚整備

 袖ケ浦市は25日、第3回史跡山野貝塚整備活用委員会を市役所北庁舎3階中会議室で開催し、基本設計の取りまとめに向けて整備や維持管理について議論を展開した。具体的には、全体計画図を示した上で、園路舗装、車両進入範囲の舗装、乗用草刈り機の走行と利用者の歩行性の改善を目的とした転圧、貝層高まり盛り土と地被植栽およびエントランスゾーン・体験ゾーンの地被植栽、案内解説板、ベンチ、囲柵などについて話し合った。
 飯富に所在する山野貝塚は、縄文時代後期~晩期にかけて営まれた、東南部が開口する馬蹄形の貝塚を伴う集落跡。2017年10月13日に国史跡に指定された。
 整備に向けては、23年8月21日に基本計画を策定した。また、基本設計をウッドサークルに25年3月21日までの納期で委託している。
 基本計画の対象は、公有地化範囲を中心に、史跡指定された範囲。計画期間は30年度までの8年間で、26年度までを計画前半とし、不要な人工物の撤去、樹木の伐採、エントランスゾーンの整備など早急に対応できる工事を行うとともに、発掘調査などにより整備に必要な情報を蓄積する期間に位置付けた。27~30年度を計画後半とし、計画前半で得た情報を基に整備を実施する。また、31年度以降は、新たな計画を策定し、本質的価値の顕在化方法やトイレ・駐車場など便益施設の整備などについて検討し、全面的な公開・活用を目指す。
 今回示した全体計画図では▽西側のエントランスゾーン・体験ゾーン=車両進入範囲の舗装、ソーラー発電への緩衝植栽、有用植物植栽、ベンチ、見切り材、利用案内、全体案内板、史跡標識、イベント時仮設トイレ▽貝層の高まり・中央くぼ地=後期遺構解説板(住居跡、土坑、墓坑)、同(住居跡、貝層)、同(貝層)、同(埋葬人骨)、同(住居跡)、晩期遺構解説板(盛り土遺構)、地形模型、基幹園路(芝保護材舗装)▽東側のエントランスゾーン=簡易柵、全体案内板、利用案内▽その他=囲柵、簡易柵、遺構保護盛り土(最大高さ10cm)・種子着床ネット敷設、住宅への緩衝植栽――を配置した。
 園路舗装は、主要地点を効果的に歩くことができるよう、歩行性が良く車椅子も走行できる小径とし、草地面に幅1・5mの芝保護材を敷設。
 車両進入範囲は、芝保護材舗装とする。
 平坦地は、遺構面から30cmの保護盛り土を確保することとし、覆土の浅い範囲には最大高さ10cmの盛り土を施す。
 現状地盤面は旧耕作地であり、転圧によりタイヤ式草刈り機の走行を容易にし、利用者の歩行性を改善する。転圧の範囲が今後の検討課題となりそうだ。
 貝層高まり範囲に高さ50cmの盛り土を施し、高まりとくぼ地が一体化した景観を目指す。さらに、貝層高まりを強調するような植栽として、ノシバやコウライシバなどを比較検討する。エントランスゾーン・体験ゾーンには、管理が容易なノシバが適すると考えている。
 史跡標識は石柱とする。地形復元模型は、平置き型の台座に色表現が豊かなFRP製または陶磁器製の模型を置く形状とする。
 ベンチは木製が適するとし、既製品と丸太材を用いた特注品を提示。また、切り株をそのまま用いるものを適宜設置する。
 東側のエントランスゾーンおよび緑地ゾーン部分の未指定地との境界には簡易的な柵を設置する。木杭ロープ柵、維持管理上有利な擬木ロープ柵、地面への打ち込みが不要な丸太ロープ柵、軽量な鋼製の柵を提示した。
 委員会は、史跡山野貝塚の適切な保存・活用・整備・管理を推進するため、専門的見地および関係する立場から助言・指導・協力を行うもので、委員長の赤坂信・千葉大学名誉教授など10人で構成。
 赤坂委員長は冒頭、「文化財をまちづくりや日々の生活に展開することが、整備活用委員会の役割」との見解を示した。

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