2025/03/04
日本人の入浴好き
▼日本人の風呂好き、入浴好きはよく知られるところだ。とりわけ寒さが厳しい季節は、お風呂で温まるのが至福のひとときという人も多いだろう。昨今の物価高で光熱費を節約しようと暖房の使用を控えれば、入浴で体を温めるのが何よりありがたい
▼とはいえ日本人の入浴好きは、そう遠くなく明治30年代からだという。それまでは欧米などと比べて並外れて入浴好きというわけでもなかったようだ。江戸時代には男女の混浴があったり禁止されたり、防火面での規制が強まったりと、湯屋の変遷にも紆余曲折があった
▼そもそも欧米では、入浴は身体の清潔と直結するもので、日本人の素朴な入浴風景は驚きでもあったようだ。日本人も長い歴史の中では、欧米と似たような感覚だった時期があるかもしれない
▼筆者は特に入浴好きでもないが、それでも習慣として毎日の入浴は欠かせない。ところが、この冬はなぜか入浴後に体がチクチクとかゆくなることが多く、何とも不快だった。医者の薬をのんでもいまだにあまり改善しないのは、加齢によるものか、乾燥によるものか
▼最近では寒暖差によるヒートショックも問題視されている。湯船に入らずシャワーだけという人もいるが、あるアンケートでは、さすがにこの時期は「湯船につかる」が9割近くを占める。このうちの7割強が頻度を「毎日」と答えている
▼その理由は多い順に「寒いから」「リラックス効果」「疲労回復」「習慣」「血行促進」。湯船につかる頻度も毎日が73%と最多で、以下、週3~6回19%、週1、2回6%となり、令和の時代にも日本人の入浴好きは変わらないようだ
▼少数の「シャワー派」は全体の約1割にとどまる。夏場ではまた違うだろうが、「冬でもシャワー」の理由は「準備や掃除が面倒」「光熱費と水道代の節約」が上位を占める
▼筆者も若い頃にはシャワーで済ませていた時期もあったが、今では湯船で温まらないと寒さがこたえる。風呂や入浴の嗜好も時代や年齢とともに変わっていくものらしい。