2025/02/04
成田「第2の開港」への道
▼成田空港の年間発着枠の上限が10月に30万回から34万回に引き上げられるが、将来的にはさらに年間50万回を目指す方針が決まっている。数字で言うのはたやすいが、発着枠の拡大には空港機能の強化が必要で、これに伴う様々な課題も浮き彫りになっている
▼発着枠50万回は「第2の開港」とも言われ、アジアの空港競争に打ち勝つためには、できる限り早い実現が不可欠となる。それでなくても世界の中で成田の競争力低下は著しく、2000年に世界8位(2660万人)だった国際線旅客数は、19年には18位(3670万人)まで落ち込んだ
▼国際空港の旅客数ランキング(19年)では、ドバイが1位(8640万人)で、ロンドン(ヒースロー、7605万人)、アムステルダム(7171万人)、香港(7142万人)、ソウル(仁川、7061万人)と続く。18位の成田は、仁川(韓国)、桃園(台湾)などアジアの空港に抜かれた▼1978年に開港した成田は、滑走路1本での運用が長く続き、2本目の供用は2002年だった。ライバルとなる東アジアの空港どころか、4本の羽田空港にも及ばない
▼訪日外国人の増加などによる航空需要を受けて、29年には3本目の滑走路を新設するが、発着50万回までは遠い。国は40年代後半までに50万回分の需要に達すると見込んでおり、旅客数は現在の約4000万人から約7500万人に、貨物取扱量は約200万tから約300万tに増加する
▼機能強化を実現する上で最大の課題は何といっても人材の確保で、空港内従業員数も7万人(現在4万人)が必要となる。現在でも航空業界の人手不足は深刻で、人材確保は容易でない
▼発着枠が増えれば、滑走路の運用時間や人的混雑の時間帯も必然的に長くなり、周辺地域の騒音対策もこれまで以上に大きな課題となる
▼「第2の開港」までの道のりは険しいが、成田の機能拡大を慎重かつ迅速に推し進めてほしい。周辺地域がよりよい形で空港と共に発展していくことが望まれる。