コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2025/01/15

「巳年天上」望めるか

▼巳年は、脱皮する蛇のイメージから「変化・成長・復活」を意味するとされる。市場関係者の間では「辰巳(たつみ)天上」という言葉が語り継がれ、巳年は辰年とともに相場上昇への期待感が高いそうだ。はたしてそうした前向きの年となるのかどうか
▼過去の巳年を振り返ると、日経平均株価の前身の指数が算出され始めた1950年以降、6回あった巳年のうち、年間で上昇したのは4回で、下落が2回。確かに巳年はこれまで相場の節目や大きなできごとと重なってきたともいえる
▼89年は株価が年間29%上昇し、年末には3万8915円を記録した。日本経済は、この高値を2024年に上回るまで、「失われた30年」と呼ばれる長い低迷期となった
▼01年は9月11日に米国で同時多発テロが発生し、米株式市場は取引停止となり、翌12日の日経平均は7%近く下げ、終値が1万円を割り込んだ
▼13年は黒田東彦氏が日本銀行の総裁に就任し、異次元緩和と呼ばれた大規模な金融緩和政策が始まり、現在の株価上昇の流れにつながる節目となった
▼このほかにも、1989年には平成時代がスタートし、ベルリンの壁が崩壊。2001年は小泉政権が誕生し、中国がWTOに加盟した。13年には東京オリンピック・パラリンピックの決定があった
▼民間エコノミストの予測では、25年度の実質成長率は1%程度と24年度の0・4%を上回り、0%半ばから後半程度とされる潜在成長率よりも幾分高く、物価が安定に向かう中で堅調な成長が期待できるとの見立てを示している
▼とはいえ、米国のトランプ大統領就任をはじめ、海外の政治情勢や政権運営には不透明感が漂い、ウクライナ情勢やイスラム情勢の先行きなど不安定要素が多い。エコノミストの見立てのような経済成長となるかどうかは、今のところ見通せない
▼25年は地政学的なリスクが極めて高いと言われるが、過去の巳年に見られたような大きなできごとが発生するのか。発生するなら、せめて明るく前向きのものであることを願うばかりだ。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ