コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/11/26

出産負担額の増加

▼この秋は、比較的身近なところで出産のうれしい知らせをいくつか聞いた。これほど知らせが重なった年も最近ではまれだったので、こちらも心が浮き立つ気分だった。これからの子育てには一層難題も少なくないと想像されるが、まずは今後の健やかな成長を祈りたい
▼出産にかかる費用も年々高騰し、全国平均が2023年度で50万6540円になったと、先ごろ厚労省から公表された。50万円を超えるのは初めてだという。負担増によって出産をためらうケースなどが増えれば、それはそれで残念なことだ
▼費用負担の増加は、産院などで出産費用が値上げされていることが要因となっている。加えて、23年度から産婦に支払われる一時金が50万円に引き上げられたことも影響したとみられる
▼医療費に個室料やお祝い膳などを含めた出産費用は、少子化対策で出産育児一時金が引き上げられるまでの1年間は月平均で1240円程度の微増傾向だったが、23年4月分は増額幅が1万6242円に増え、それ以降も増加傾向が続いている
▼出産費用と出産育児一時金との差額である妊婦の平均実質負担は、23年3月分が13万2731円、4月分が6万8973円に軽減されたものの、24年8月分は9万4191円に増えた▼出産費用はもともと上昇傾向にあったが、23年度は22年度と比較して2万4000円上回った。また、24年度上半期(4~9月)の平均額は51万7952円と、22年度比で7%も増加している
▼都道府県別で最も高かったのは東京都の62万5372円、最も低かったのは熊本県の38万8796円で、ここでも地域格差が鮮明になっている。ちなみに千葉県は51万9920円だった
▼政府では妊産婦の負担軽減のため、正常分娩の出産費用について、26年度の保険適用導入を視野に議論を進めているが、産科医からは「(自由な料金設定で費用を賄えず)産科の生き残りに決定的なダメージを与える」との反対が出ている。将来のためにも、生み育てやすい社会の構築に知恵を絞ってもらいたい。

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