コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/11/06

止まらぬ物価高騰

▼今回の衆院選で自民党が裏金事件の影響を受けて大敗し、政局は混迷の度を深めているが、選挙結果を大きく左右した底流には、物価高や経済への不満があったと考えられる。物価高による生活の苦しさゆえに、裏金問題などのスキャンダルが怒りのトリガー(引き金)になったと分析する識者は多い
▼「記録的な物価高」が繰り返し報じられ、多くの国民は、スーパーなどで目にする値札から暮らしへの影響を肌で感じている。「賃上げ、賃上げ」と声高に叫ばれるものの、物価の上昇に追いついていない実感を覚える人が大半だろう
▼ここ数年の記録的な物価上昇は、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響が要因で、政府による消費者物価指数や小売物価統計などから推計すると、2024年の上昇率は20年価格との比較(いずれも3月平均)で、魚介類126・2、乳卵類120・9、家事用消耗品120・8、穀類115・2などとなっている。とくに生鮮食料品は、魚介類の不漁など気候変動の影響も大きいとされる
▼20~24年の間に大きく値上がりした主な品目をみると、サンマ82%(102円→185円)、電球・ランプ63%(1173円→1909円)、食用油56%(280円→437円)、プリン44%(109円→157円)、イカ37%(167円→228円)、ケチャップ35%(197円→267円)、砂糖34%(199円→267円)、国産チーズ31%(187円→245円)、小麦粉27%(253円→322円)、鶏卵26%(220円→278円)、灯油26%(1678円→2114円)などとなっている
▼小麦の主要な生産国であるロシアとウクライナからの供給不安により、輸入価格が高まり、原材料費の高騰がパンや麺類に広がった。エネルギー価格も高騰し、輸送や工場の稼働に要する費用の増加も小売価格に反映されている
▼少子化による人材不足や、賃上げの波を受けた人件費の上昇は今後も続くと見られ、止まらぬ物価高から解放されるとは当面、考えにくい。

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