コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/09/10

「熟年離婚」高止まり

▼「熟年離婚」と聞くと、もう少し年を重ねた人の話かと思いきや、厚労省の人口動態調査に基づく調査では、同居期間が20年以上の離婚をそう定義している。単に自分が年を取ったせいなのか、あるいは晩婚化など社会状況の変化で感覚がずれてしまったからなのか
▼熟年離婚に関する統計自体、先日発表された報道でこんな調査があるのを知った。考えてみれば同居20年は、子育てが一段落し、役職定年を迎える時期がその頃にあたる
▼熟年離婚は近年、高止まりの傾向にあり、2022年に離婚した夫婦のうち、同居20年以上の離婚割合は23・5%に上り、統計のある1947年以来で過去最高になった
▼離婚の全体件数は17万9099組(同居期間不詳の1万2894組を含む)で減少傾向にあり、28万9836組だった2002年のピーク時に比べると約4割も減っている。一方で、同居期間20年以上の夫婦の離婚は3万8991組に上り、この20年以上、4万組前後で高止まりしている
▼背景としては、高齢化により「夫婦の老後」が長くなり、人生を再設計するケースが増えているためと、専門家は分析する。また、子どもたちの独立が離婚を決断する要因となり、役職定年などで年収が減ることなども離婚に発展しやすいと指摘する
▼同居期間別の離婚件数(22年)は、20年以上~25年未満が1万6404組、25~30年が1万829組、30~35年が5192組、35年以上が6566組だった。最も多いのは同居期間5年未満の離婚で5万2606組と、全体の3割超を占めるが、その数や割合は年々減ってきている。人口減などで婚姻数自体が減っているのが影響しているためで、これも一概に喜べる数値ではない
▼かつては夫の定年が離婚の契機になりやすいとも言われたが、近年では定年より早い時点で「夫婦の危機」を迎えるケースも目立つという。離婚にもプラスマイナス両方の側面があるには違いないが、調査結果は社会状況を映す鏡のようで、やはり複雑な思いが抱かざるを得ない。

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