コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/09/18

「九九」は長い友達

▼誰もが習う、かけ算九九。いつ習うのかを調べてみると、おおむね小学校2年生の2学期だという。筆者が習った当時も、おそらく現在と同時期だったのだろう。それなりに大変な思いで暗記した記憶があるが、その時期にきちんとマスターできたかを思い返すと、いささか心もとない▼そもそも、かけ算九九は通常の社会生活でどれほど使っているものか。改めて考えてみることもあまりないが、案外、頭の中で意識せず使っていて、その知識は折々役立っているに違いない。やはり基本的な暗記方法としては必須のものだろう
▼一口に九九と言っても、かけ算九九のほか、足し算九九、割り算九九などさまざまあるが、単に九九という場合には普通1桁同士のかけ算九九を指す。ただし海外では、ドイツ語圏で20×20までのかけ算をまとめた「大九九」や、インドでは二桁の九九が学ばれるという
▼一方、アメリカの大学生・大学院生の38%は「九九を完全には覚えていない」という調査結果もあり、ほっとする人も多いのではないか
▼日本では江戸時代に足し算九九や引き算九九が寺子屋などで教えられ、明治期の教師用指導書にも、これら「九九図」の表が掲載されている。さらに遡れば、かけ算九九が大和時代に百済から伝えられ、平安時代には貴族の教養の一つとされていたという説があった
▼この説を裏付けるように、藤原京跡(奈良県橿原市)で出土した7世紀末~8世紀初めの木簡が、かけ算の「九九」の一覧表だったことが判明し、先日、奈良文化財研究所から発表された。役所で使われたとみられ、実用的な九九木簡としては最古級という
▼昨年、赤外線装置で再判読した結果、縦に「九々八十一」「四九卅(三十)六」「六八卌(四十)八」と書かれている可能性が大きいことがわかった
▼それらの木簡の文字を見ると、飛鳥時代の役人も九九の暗記に苦労した様子がうかがえる。数字や記号、数式を暗記する大変さはいつの時代も変わらない

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