コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/07/03

止まらぬ円安

▼歴史的な円安が続いている。こうまで続くと、「果てしない」「とめどない」といった形容しか浮かばない。4月末には34年ぶりに1ドル=160円台となり、先月28日には161円まで進んで、37年半ぶりの円安水準を再び更新した。物価高や金融資産の価格上昇など、身の回りにもさまざまな影響が出ている
▼米国で利下げが遅れるとの見方が強まり、日米の金利差拡大が一層意識され、金利の低い円を売って金利の高止まりが続くドルを買う動きが活発になっている
▼4月末の160円台突破後には、政府・日銀が円買い介入に踏み切ったとみられ、今回、160円台をつけたことで、市場では介入への警戒感が再び強まっている。財務相も「急激で一方的な動きは望ましくない。必要に応じて必要な対応をとっていく」と述べている
▼円安も悪い面ばかりでないにせよ、やはり身近な影響を考えれば、マイナス面のほうが大きい。1か月ほど前の調査でも、「円安はいいことか」との問いに、9割が「いいえ」と回答。その理由としては「食料品の値上がり」が最多で、「ガソリンの値上がり」「生活が苦しい」と続く
▼「最も節約しているのは何か」との問いには、回答の多い順に「食料品」「旅行」「服飾品」「外食」となった▼残り1割の円安肯定派は「外貨建て預金がある」「海外の株や債券をもつ」「インバウンドが増えた」「日本円の預金金利が上がった」などを理由として挙げた
▼生活水準の引き上げ方法では、効果がすぐに出る「収入増」と、後日の買い物に備える「支出減」の回答がほぼ拮抗した
▼専門家の多くは、現在の円安基調が続くとの見方を示している。4月末の政府・日銀の為替介入の効果も2か月で消失し、さらなる円安の更新に及んだ
▼そもそも日本にとってちょうどいい円安相場はどれほどなのか。その素朴な疑問に答えるのは、なかなか難しい。はっきり言えるのは、現在の円安が極端に過ぎること、そしてこの流れを変える手段が限られていることだろう。

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