コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/06/26

課題多い運転免許返納

▼高齢ドライバーによる自動車事故が社会問題となって久しい。「運転が不安になった」などの理由で運転免許証を返納した75歳以上の高齢者は、2023年には約26万人に上ったが、高齢者の交通事故は後を絶たないのが現状だ。翻って我が事としても、いずれ返納すべき時期はきちんと見極めたいものだ
▼警視庁によると、75歳以上の運転者の死亡事故は23年に384件となり、3年連続で増加した。免許証を持つ10万人当たりの死亡事故は5・3件で、75歳未満の2倍に上る
▼事故原因は、ハンドル操作のミスや、ブレーキとアクセルの踏み間違いなどが目立ち、身体能力や認知機能の低下などがうかがえるケースが多くみられるという
▼「高齢者の事故が多いから運転をやめたほうがいい」と家族などに促され、しぶしぶ免許証を返納する話は巷間よく耳にする。そうはいっても、なかなか運転をやめられない事情のある高齢者も多い。車がないと、買い物や病院への通院もできないなどだ。一朝一夕にはいかないにせよ、これらの課題には公的な対策がますます重要になってくる
▼筆者の父(故人)も、かなりの高齢まで運転をやめず、家族など周囲をやきもきさせた。幸い大きな事故には至らなかったが、やめるまでの何年間かは小さな物損事故を何度か起こすようになっていた
▼それでも、免許更新前の高齢者講習や認知機能検査などを受ければ、問題なしと判断され、本人は意気揚々と自宅へ戻ってきた。家族としては、講習や検査の結果いかんにかかわらず、教習所なり警察なりで早く返納した方がよい旨を諭してほしかったが、そうはならなかったようだ
▼一口に高齢者といっても、その能力や機能に個人差があるのは当然だが、それでもある程度の年齢に達した時点で返納を強く推奨する制度があってもいいのではないか
▼人命にかかわる事故は、起きてからでは遅い。運転しなくても安心安全に暮らせる社会をつくるのは、政治や行政はもちろん、私たちすべてに課せられた義務でもあろう。

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