コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/05/28

深刻さ増す空き家問題

▼筆者の自宅は千葉市若葉区に所在する350戸ほどの住宅地で、1960年代後半に造成された。周囲を樹木に囲まれる、閑静と言えば閑静な住宅地だが、近年、急速に老朽化した空き家が増えてきた。少し前まで住人がいたのに、久々に歩いてみれば無人、といった具合だ
▼造成時期と住人の年齢層との関係もあるだろうが、一時は10戸に1~2戸は空き家という割合だった。ただここへ来て、急速にそれらの空き家が取り壊され、新しい家が建ち始めている
▼造成当時の区画は総じて面積が広い上に、2区画の敷地に建てられた家屋も見受けられるが、今では土地や新築住宅の価格高騰もあってか、空き家が取り壊されたのち、逆に1区画を分割して2戸を建てるケースが多い
▼空き家問題は全国的に深刻で、先に発表された2023年の住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家はアパートなどの1室も含めると900万戸にのぼる。過去最多を更新し続けている状況で、5年前の前回調査と比べると51万戸増え、この30年で約2倍となった
▼国内の総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)も前回比で0・2ポイント上昇し、これまでで最も高い13・8%に及ぶ。賃貸・売却用や別荘などを除く「放置空き家」は385万戸で、前回から37万戸増え、総住宅数に占める割合も5・9%に達した
▼千葉県内に限っても、空き家数は昨年10月時点で39万3400戸となり、過去最多。空き家率も12・3%に上る。首都圏のうち11・0%の東京都や9・8%の神奈川県に比べれば高い水準だが、全国的に見れば決して高い方ではない。ちなみに、最も高いのは和歌山県と徳島県の21・2%で、山梨県の20・5%が続く
▼住人のいなくなった空き家は不思議なほど短期間で劣化し、草木が生い茂る。治安や防災面でも地域社会に悪影響を及ぼし、倒壊などの危険もある。人口減少や少子高齢化に伴い増加傾向に歯止めがかからない状況で、早急な利活用や税の軽減措置など、国や市区町村による対策の強化が急がれる。

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