コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/05/15

消滅可能性自治体」22市町

▼自国の未来は明るいものと信じたいのは山々だが、各種の調査結果や将来見通しを見るにつけ、厳しい現実を突き付けられる。とくに人口に関する展望では、驚き以上に、想像を超える衝撃的な数値が少なくない
▼先に人口戦略会議が示した「消滅可能性自治体」もそうだ。2020年から50年までに全国1729自治体の4割にあたる744自治体で20~39歳の女性人口が50%以上減少し、いずれ消滅する可能性があるとする分析が出された
▼14年の前回調査から「消滅可能性自治体」に該当する自治体は減ったものの、少子化基調は変わらず、同会議が各地域へ実情に応じた対策を求めた形だ
▼千葉県でも「消滅可能性自治体」に22市町が該当するとされ、外房や南房総など東京から離れた地域で人口流出が深刻な状況が鮮明になった。逆に東京に近いエリアの自治体はこのリストに入らず、県内格差が改めて浮き彫りになった
▼22市町は、銚子市、勝浦市、富津市、八街市、南房総市、匝瑳市、香取市、山武市、いすみ市、栄町、神崎町、多古町、東庄町、九十九里町、芝山町、横芝光町、白子町、長柄町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町
▼中でも銚子市は、20年に4331人だった若年女性人口が、50年に67・5%減の1409人になると推計され、人口移動を考慮せず、出生や死亡だけの要因で推計する「封鎖人口」でも、減少率が50・9%となり、自然減と社会減の両面で「特に構造的に深刻な自治体」と指摘された
▼今回の分析では、移動を仮定した若年女性の減少率が50%未満にとどまる一方で、封鎖人口の減少率が50%を超える自治体は「ブラックホール型」と位置付けられ、浦安市と酒々井町がこの該当に分類された。とはいえ、交通の便の良さなどから社会増は続いているが、出生率は低く、将来的なリスクも抱えていると指摘される
▼少子化や人口減少を食い止めるのは並大抵のことではなく、今後は、暮らしやすさなど生活者の価値観から地域のありようを構想するなど、抜本的な対策が急がれる。

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