コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2024/03/26

京葉線の各停変更にため息

▼長時間電車に揺られ、車内で座れず立ち続けるつらさを経験したことのない人はまずいないだろう。それが日々の通勤ともなれば、なおさらだ。どんな形にせよ、貴重な時間が確実に奪われる
▼この春のダイヤ改正により、JR京葉線で朝と夕方以降に走る大半の快速と全ての通勤快速が各駅停車になった。今回のダイヤ改正が明らかになって以降、沿線自治体はこぞって反発し、JRに改善を訴えてきたが、そうした声も届かず、16日から新ダイヤの運行が始まった▼JR東日本によれば、蘇我駅(千葉市中央区)では快速29本、通勤快速4本の発着がなくなり、通勤快速から各停への変更では、蘇我―東京駅間の所要時間が最大で約19分増えることになる
▼通勤時間の変更を余儀なくされた利用者からは不満の声が上がった。JRにはもっと住民の声を聞いてほしかったと納得のいかない利用客が多いのも、至極もっともな話だ
▼通勤快速の利用者からは「朝の通勤快速がなくなり、その数分後に追加料金のかかる特急が新設された」「東京駅から座って、乗り継ぎなしで帰ることができなくなった」など、さまざまな声が聞かれた
▼沿線自治体は今回のダイヤ改正で沿線価値が落ちるとし、県内の経済団体も見直しを求めたが、結局、JR側は今年1月に、早朝の上り快速2本を存続させる修正をするにとどまった
▼JRは元々、ダイヤ改正の際に地元自治体とのコミュニケーションをおろそかにしてきたと、意思疎通の不十分さを指摘する識者もいる。今回もその例に漏れず、沿線の反発で多少の見直しがあったとはいえ、納得のいく改善とは程遠い
▼背景には通勤輸送の利益率の低さがあり、特に京葉線の場合、各停の都心寄りで乗客が集中することが課題となっていた。快速や通勤快速を廃止することで混雑解消につなげ、コストを浮かせようとする狙いがあるとみられる
▼次のダイヤ改正で早急な改善がなされるよう、県や沿線自治体には引き続き、粘り強い要望活動を求めたい。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ