コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2024/03/14

4位転落の日本GDP

▼日本のGDP(国内総生産)がドイツに抜かれ世界4位に転落する見通しは、昨年12月の小欄でも触れたが、その見通しがついに現実のものとなった。日本の名目GDPは、コロナ禍からの回復で消費や輸出が伸び、物価高もあって円ベースで過去最高となったものの、円安の影響によりドル換算では目減りした
▼物価の影響を含めた2023年の名目GDPは前年より5・7%増の591・4兆円。しかし、ドル換算では1・1%減の4・2兆㌦となり、4・4兆㌦のドイツに抜かれた。ドイツの物価高が日本よりも激しく、それに伴い23年の名目成長率が6・3%だったことも影響した
▼さらに深刻なのが日本経済の長期低迷だ。ドイツの人口は日本の3分の2にとどまるが、国際通貨基金(IMF)のデータだと、00~22年の実質成長率ではドイツが平均1・2%なのに対し、日本は0・7%。この成長率の差が積み重なり、円安が最後の決定打になったとされる
▼日本のGDPは高度経済成長期の1968年に旧西ドイツを抜き、長い間、米国に次ぐ2位の経済大国だった。リーマン・ショック後の2010年に中国に抜かれて3位となり、以後、同位置を保ってきたが、55年ぶりに日独が逆転した
▼日本の世界4位転落が報じられると、ニュースなどで聞かれた〝街の声〟は、「それも致し方ない」という感想が大半だった。そこに、長らく経済大国を誇った過去を忘れがたい諦念めいたものを感じたのは、筆者だけだろうか
▼GDPの順位が全てではないにせよ、日本の経済はこの先どうなっていくのか。背後の5位には、急成長を遂げているインドの影が迫っている。今後数年でインドは日本やドイツを抜いて3位になるとみられている
▼今月4日には東京株式市場で日経平均株価が史上初めて4万円の大台に乗り、市場が湧いた。ただ半導体関連の銘柄上昇の要因が大きく、相場の過熱を警戒する声もある。株価が実体経済を反映したものと素直に思えないところが、何とももどかしい。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ