コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/01/10

新年早々の厄災

▼コロナ禍を乗り越え、新年こそいい年にしたいと願っていた年末年始だったが、元日早々、石川県能登地域を震源とする大きな地震に見舞われた。いつ牙をむくかわからないのが自然とはいえ、あまりの仕打ちに天を仰ぎたくなる
▼地震は1日午後4時10分に起こり、同県志賀町で最大震度7を観測した。震源の深さは約16㎞、地震の規模を示すマグニチュード(M)は推定7・6という。この地域に残る記録では1885年以降で最大だった
▼家族や親戚、友人と新年を祝っていた人も多かっただろう。テレビ画面には「津波危険」「逃げて!」の文字が繰り返し映り、避難を呼びかける切迫したアナウンスが続いた。いまだ被害の全容がつかめず、安否不明者が多数いる。避難を強いられ、寒さに耐える被災者の苦痛を考えると、胸が痛む
▼振り返れば、能登半島での地震活動は2020年12月から活発になった。23年5月にM6・5、最大震度6強の地震が発生し、その後は回数が増えたものの、最近は減少傾向に転じていた。能登半島は昔からさほど地震の多い場所ではなく、石川県で最大震度7の地震が発生したのは記録では今回が初めてという。近年の相次ぐ地震により、建築物などがダメージを受けていたことも被害の拡大につながった
▼今回の地震で政府や自治体は早い時点で「プッシュ型」の支援を打ち出した。被災地からの要請を待たずに積極的に物資を送り込む方式で、過去に災害を経験し、被災者のニーズを知る国だからこそできる積極的な支援を望みたい
▼さらに2日の夕方には羽田空港で、着陸しようとした日本航空(JAL)機が、滑走路上にいた海上保安庁の航空機と衝突し、双方が炎上した。JAL機の乗客・乗員が全員脱出できたことは奇跡というほかなく、本当に胸を撫で下ろした
▼一方の海保機は、搭乗していた6人のうち5人が死亡した。能登半島地震の救援のため、新潟空港に向かおうとしていたという。事故の原因はともかく、やりきれない思いばかりが募る。

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