コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2023/09/20

危険度高い第4種踏切

▼踏切横断中の事故をよく耳にするのは今に始まったことではない。高齢者などが電車にはねられて亡くなる痛ましい事故も全国で後を絶たない。とりわけ遮断機も警報機もない第4種踏切では、事故の危険性が指摘されて久しい
▼第4種踏切は2022年3月末現在で、全国にJR、私鉄あわせて2455か所もある。総務省によれば、第4種踏切の事故発生数は19年で100か所当たり1・02件。遮断機と警報機を備えた第1種踏切の0・59件に比べ1・7倍の危険度だ
▼国は改良や廃止を促しているが、費用や地元の反対などもあり、十分には進んでいない。そもそも、01年以降の安全基準では鉄道と道路は立体交差が基本となり、例外的に踏切を設ける場合は遮断機と警報機が必要とされる。ただし国交省は、経過措置として第4種の存続を認めつつ、早期の廃止か第1種への改良を要請している
▼第1種への改良は積極的に進めてもらいたいが、踏切を廃止するとなると、地元住民から反対されるケースもある。たとえば香川県の高松琴平電鉄(通称・ことでん)では、近くの水門の開閉のために長年利用してきたなどの理由で住民の反対を受け、いったん保留にされたという
▼法律上は廃止するのに地元の同意の必要はないが、国交省は住民や自治体との丁寧な協議を鉄道会社に求めている。また、改良は会社側にとって費用がネックになる。第1種への改良には一般的に1か所につき1500万円以上かかり、地元自治体の補助制度はあるものの、資金力に乏しい中小の私鉄には負担が大きい
▼ちなみに、第4種踏切の多い主な中小私鉄は、秩父鉄道85か所、富山地方鉄道54か所、小湊鉄道49か所、上信鉄道45か所など
▼本県の小湊鉄道も第4種の箇所数で全国的に上位に位置するが、同鉄道は同じ本県のいすみ鉄道とともに、先日の台風13号による大雨で大きな被害を受けた。路線の復旧など深刻な課題も重なり、不採算路線として交通網の再構築を迫られる中小私鉄が苦境に立たされている。

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