コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2023/06/26

危惧されるエルニーニョ

▼鬱陶しい梅雨時期に入ったが、鬱陶しいだけでは片づけられない異常気象が地球規模で起こっている。今年はとりわけ温暖化による「エルニーニョ現象」が4年ぶりに発生し、より強力な「スーパーエルニーニョ」に発達する可能性も取りざたされている。私たちを取り巻く気候変動はまさに未知の領域に入った
▼エルニーニョとは、太平洋の東側の水温が平年よりも高い状況が1年ほど続く現象。スペイン語で幼子イエス・キリストを指し、もともと毎年クリスマスごろにペルー沖で起こる暖流のことを呼んでいたのが語源という
▼日本では一般的に冷夏になり、西日本を中心に雨が多くなる傾向にあるが、今夏はインド洋熱帯域の水温が南東部で低く西部で高い「正のインド洋ダイポールモード現象」の発生が予想され、そうなると上空のチベット高気圧が北東に張り出すため、日本は逆に猛暑になりやすい▼気象庁も今夏は例年より高温で猛暑日が増える可能性があると発表し、6月が低温傾向になるとの当初予測を変更し、7、8月も東日本や西日本で高くなりやすいとした
▼エルニーニョ現象では海流や気流が平常時と変わるため、干ばつになりやすい場所もあれば、豪雨が起きやすい場所もある。冒頭で鬱陶しい梅雨などと言ってはみたものの、日本ではすでに6月としては異例の高温となる日が続いている
▼今月7日にはニューヨークで、500㎞も離れた隣国カナダの山火事により空が赤く染まるという、信じられないようなニュースも目にした。これも今春に高温と乾燥が続き、制御不能な火災が多くの場所で広がったのが原因だった。山火事と気候変動を直接結び付ける根拠はまだないと言われるが、やはり異常気象と無縁ではあり得ない
▼こうした未知の気候変動にどう向き合うべきか正直、途方に暮れてしまいそうになるが、手をこまねいてはいられない。できる限りの備えとともに、世界全体で抜本的な対策を早急に講じなければ、地球も人類の未来も危ういことを知るべきだろう。

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