コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2023/05/16

迫るG7広島サミット

▼G7広島サミットの開幕が間近に迫ってきた。米国・バイデン大統領の出欠が取りざたされていたが、どうやら出席できるようだ。米国の大統領がリアルで出席できないとなれば、被爆地・広島で開催する意味も大きく揺らぎかねない。まずは一安心した
▼改めてサミットについておさらいしておくと、G7とは「Group of Seven」の略で、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7か国と欧州連合(EU)で構成。毎年開かれ、成果は「共同声明」として文書にまとめられる。議長国は交代で1月から1年間務める
▼名称は「山頂」を意味する英語「Summit」に由来。第1回は1975年、フランス・パリ郊外のランブイエ城で開かれた。当時の参加国はフランス、米国、英国、西ドイツ(当時)、日本、イタリアの6か国だった。カナダは第2回の76年、EUの前身である欧州共同体(EC)は77年から加わった
▼冷戦終結後の94年にはロシアもサミットの一部の討議に参加し、97年からは「G8サミット」と呼ばれるようになった。2014年のロシアによるウクライナ領のクリミア半島の一方的併合で、7か国がロシアの参加を停止したが、現下のウクライナ侵攻を思えば、ロシアにはこの時点でより厳しい態度をとるべきだったとも思える
▼G7サミットが日本で開かれるのは今回で7回目。最大のテーマは言うまでもなくロシアによるウクライナ侵攻で、岸田文雄首相は「核兵器のない世界」に向けたメッセージの発信に意欲を見せる
▼主会場は広島市南区にある「宇品島」のホテル。明治期に干拓で宇品港が築かれ、第2次世界大戦が終わるまで、軍港として兵士や食糧などを送り出す拠点となった。米軍の飛行機を迎え撃つ高射砲の陣地も築かれた
▼G7首脳らによる「広島平和記念資料館」への訪問も予定されている。被爆者の遺品などを目にして各国の首脳らは何を思うか。様々な国際社会の重要課題の協議とともに、被爆の実相を広く伝えるサミットであってほしい。

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