2023/01/18
卯年の始まりに思う
▼正月気分も遠のき、卯年の2023年が本格的に動き出している。うさぎの跳び姿から「飛躍」「向上」を象徴し、景気の好転・回復も意味する「卯年」。「卯」の語源が草木が地面を覆う生命力にあふれた状態を表すことから、新たな挑戦に最適な年とも言われる。そうした特徴にあやかり、ぜひ上昇志向の年になってほしい
▼総務省統計局の推計では、23年1月1日現在の卯年生まれの人口は997万人で、総人口(1億2477万人)に占める割合は8・0%。男性は485万人、女性は513万人で、女性の方が28万人多い
▼十二支別の人口では10番目となり、午年の969万人に次いで2番目に少ない。ちなみに最も多いのは、団塊、団塊ジュニア世代を含む丑年生まれの1126万人。次いで子年生まれの1113万人。最多の丑年と比べると、卯年は157万人も少ない
▼卯年の人口を出生年別にみると、1975年生まれ(48歳)が最多の186万人。次いで51年生まれ(72歳)が171万人、63年生まれ(60歳)が157万人と続く。最も若い2011年生まれの12歳は104万人にとどまり、1975年生まれの56%にとどまる
▼一方、新成人は成人年齢が2022年4月1日から18歳に引き下げられ、22年中に成人(18~20歳)に達した人口は341万人となった。18歳が前年より2万人減の112万人、19歳が5万人減の113万人、20歳が6万人減の117万人。年齢が下がるごとに減少し、少子化の進行が改めて浮き彫りとなった
▼岸田首相が年頭の記者会見で掲げた「異次元の少子化対策」とは、いかなるものか。少子化対策を含むこども関連予算を倍増する考えが根底にあるのは明らかで、防衛費増額の理屈と同じく「先に規模ありき」では、どうにも説得力に欠ける。国民も「異次元」などという、聞きなれた威勢のいい言葉だけでは、もはやそう簡単に共感することはないだろう。首相にはたしてどれほどの覚悟があるものか、不安の付きまとう卯年の幕開けとなった。