コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2022/12/20

地球にやさしい次世代車

▼ひと口に次世代自動車と言っても、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)、PHV・PHEV(プラグインハイブリッド車)など多種多様だ。いずれの方向に流れが収斂していくのか、あるいは既存のガソリン車を含めた多様性を重視した開発が続いていくのか、いまだ見極めは難しい
▼最近、愛知県豊田市にあるトヨタ会館を見学する機会があり、自動車関連技術の紹介や21世紀を見据えたビジョンなどを通じて、トヨタの「ものづくり」の考え方に触れた
▼「環境と感動」と題するブースでは、地球にやさしい様々な自動車の普及を通じて、環境問題の解決を目指すトヨタの取り組みが紹介されている。なかでも目を引いたのは、1回の充電で最大約850㎞走行できる2代目の燃料電池車「MIRAI」だ
▼実車のカット断面を見ると、水素タンクの大きさに驚かされる。センタートンネルに縦置きで1本、リアアクスル(後部車軸)の前後に横置きで2本の計3本のタンクが搭載され、重量は計110㎏に及ぶ。水素搭載量は5・6㎏で、航続距離が初代と比べて30%延長できた最大の理由は、この水素搭載量の増加だという
▼現在のMIRAIが全長、全幅ともに大きいのは、これだけの水素タンクなどを搭載しているからでもある。素人考えだが、現在の水素タンクも、航続距離が確保された後には、更なる技術開発によって徐々に軽量化、小型化されていくのだろう
▼言うまでもなく自動車には多くの半導体が使われているが、MIRAIには、SIC(炭化ケイ素)のパワー半導体素子が採用され、これが燃料電池(FC)の効率を高めた。「半導体を制する者が自動車業界を制す」とも言われるが、それは次世代自動車に限ったことではない
▼半導体不足による自動車メーカーの生産調整で、ディーラーでは新車不足が長らく続いているが、ここへきてようやく峠を越え、解消に向かっているとも言われる。今後の自動車開発は半導体の動向にも大きく左右されると言ってよさそうだ。

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