2022/10/06
コロナで平均寿命縮小
▼新型コロナウイルスの感染状況も徐々に落ち着きつつあるが、コロナの影響の大きさは平均寿命にも表れた。厚生労働省の発表によると、2021年の平均寿命が男女とも10年ぶりに縮んだ。東日本大震災で多くの人が犠牲になって平均寿命が短くなった11年以来の縮小となる
▼21年の平均寿命は女性が前年を0・14歳下回って87・57歳、男性も0・09歳下回って81・47歳だった。20年までは男女ともに9年連続で延びていた
▼前年との差を死因別に分析すると、男性はコロナの影響が1番目で、女性も老衰に続いて2番目だった。コロナによって男性は0・10歳分、女性は0・07歳分、寿命が短くなった形だ
▼ちなみに東日本大震災の11年には、前年より女性が0・40歳、男性が0・11歳短くなった。東日本大震災による被害の大きさも、いまさらながら再認識せずにはいられない
▼21年に縮んだのは、あくまでもコロナによる一時的な現象と考えられる。しかも欧米などと比べると、コロナによる日本の平均寿命の下落はそう大きくない。たとえば米国の21年の平均寿命は76・1歳で、前年より0・9歳短くなった。新型コロナによる死者の増加が主な要因で、1996年以降では最も短くなり、新型コロナ流行前の2019年と比べると実に2・7歳短く、この下げ幅は1920年代以降で最大という
▼平均寿命とは、その年に生まれた子が、平均した場合、その後何年間生きられるかを予想した数字。他の年齢の人たちの死亡率なども含めて計算される
▼日本は国際的に見ても長寿で、単純比較では女性は1985年から1位。21年は2位が韓国の86・5歳、3位がシンガポールの85・9歳と続く。男性はスイスの81・6歳、ノルウェーの81・59歳に次いで、日本が81・47歳で3位となっている
▼平均寿命は一般的に先進国で長くなる傾向にあり、コロナ後は、パンデミックなどが起きなければ再び延びると予測される。寿命が延びる背景には、医療技術の進歩や健康志向の高まりがあるとされる。