2022/10/18
マスク着脱の行方
▼新型コロナウイルスの国内の感染が下げ止まり状況にある中で、マスク着脱の議論が盛んになっている。海外ではマスクなしの日常が戻りつつあるが、日本では街中や人込みでマスクなしで歩く人の姿はまだまだ少ない。長引くコロナ禍が私たちにもたらした苦悩は思いのほか深そうだ
▼先月行われたあるアンケート調査では、「屋外でマスクを外しますか」との質問に「外す」が57%、「外さない」が43%となり、数字上では外すと回答した人が過半数を超えた。ただ屋外の現状を見れば、本音と実際の行動には相当の乖離がある
▼「外す」との回答者の理由では「厚労省や医師会が必要ないとしている」が最も多く、「外気を思いきり吸いたい」「つけるのが好きではない」「体力的にきつい」と続いた。「外さない」理由では「感染リスクを減らしたい」が最多で、以下「自分だけ外すのに抵抗がある」「着脱が煩わしい」「マスクに慣れた」の順となった
▼「欧米のように屋内外でマスクを外す方がよいか」では、肯定派が22%にとどまり、否定派が52%に達した。「今後のマスク着用習慣」については「コロナ禍が終わればなくなってほしい」が61%と、「ある程度は定着してほしい」の29%を大きく上回った
▼国では現在、場面に応じたマスクの適切な着脱を要請している。具体的には、屋外では季節を問わず原則不要(人との距離が約2m保てず、会話をする場合は着用)、屋内では距離が確保でき会話をほとんど行わない場合を除いて着用(人との距離が約2m保てて、会話をほとんど行わない場合は着用不要)とされている。しかし、この方針に沿った着脱を臨機応変に行うのは現実的にはなかなか難しい
▼1世紀前に3年弱にわたり流行したスペインかぜの際にもマスク着用は励行されたが、流行が収まると、なし崩し的に着用習慣も消えていったという。個人的には、国などの指針や要請は参考にすべきとしても、いずれは誰に強制されることなく消えていってほしいと願う昨今である。