コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2022/09/15

売却のハウステンボス

▼経営再建後、順調な業績だった「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)もコロナ禍には勝てず、香港の投資会社に売却されることになった。筆者は2013年に一度、観光で訪れたこともあり、陰ながら応援していたので、今回の売却発表は残念でならない
▼ハウステンボスはオランダの街並みを再現したテーマパークとして1992年に開業した。当時はバブル景気とリゾートブームに後押しされ、大きな話題となった
▼96年度のピーク時には入場者が年間380万人に達したが、バブル崩壊と重なって業績が悪化。2003年には会社更生法を申請し、野村ホールディングス系の投資会社の支援を受けた
▼08年のリーマン・ショックもあって再建が難しい中、10年には旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が経営を引き継ぎ、「脱・オランダ」戦略を掲げて経営を立て直し、15年9月期には入場者が310万人まで回復した
▼コロナ禍が直撃し、20年9月期と21年9月期は純損益が赤字となり、入場者も130万人前後まで落ち込んだ。22年4月中間決算の純損益は269億円の赤字で、自己資本比率も5・8%に落ち込んだ
▼今回の売却先は「PAG」で、売却総額は約1000億円に上るという。同社はテーマパーク業界に深い知見と経験を有し、HISもハウステンボスの更なる成長に期待を寄せている
▼152haという広大な敷地面積を有するハウステンボスは、大浦湾の北端に面する風光明媚な立地にある。鉄道、船舶、バス、車と、様々なアクセス方法があるが、関東圏からはさすがに近いとは言えない。筆者が訪れたときは長崎空港から船舶で50分かけて到着したが、それはそれで少々遠いながらも風情があった
▼訪問した13年当時はHISに経営が移って3年ほど後で、入場者も右肩上がりの時期だった。一部閉鎖中のエリアもあったが、全体的にはかなりの賑わいだったと記憶している。今回の運営主体変更後で、ハウステンボスがかつての活況を取り戻すことを願ってやまない。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ