コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2022/07/29

人前で話す得意不得意

▼人前で話すことの得手不得手を聞かれて、苦手意識がないと答えられる人がどれほどいるのかと思いきや、あるアンケートでは36%だった。残る64%が「苦手」と答えたものの、4割弱の人に苦手意識がないとは少々驚きだった
▼ただしその4割弱の人も、「場数を踏んで慣れた」という理由が最も多く、必要に迫られ場をこなしたことで苦手意識を克服した人も相当数いると推察される。そのことは、「昔から苦手意識がなかったのか」との問いに「はい」と答えた人が30%に過ぎず、「いいえ」が53%、「どちらともいえない」が17%に上ることからもうかがえる
▼64%の「苦手」と答えた人の理由を見ると、「緊張する」が1位で圧倒的に多く、次いで「話をまとめられない」「面白い話ができない」「注目を浴びるのが嫌い」などと続く。なるほどと頷ける理由ばかりで、苦手派に属する筆者も含めて、すこぶる納得がいく
▼苦手意識のない人が挙げた理由は、苦手意識のある人に参考になるものが少なくない。たとえば「事前に準備して話す」「話が滑っても気にしない」「表情や仕草で補える」など、事前の用意や心持ちで、多少なりとも苦手意識を軽減できる希望も感じさせる
▼ただし多くの人が人前で話した際の失敗談を口にしており、その失敗を振り返るとき、「頭が真っ白になる」という言葉を使う人が目立つという。こうした過去の失敗がトラウマとなって、苦手意識が増長されてしまった人も多いのだろう
▼そうした人からすれば実にうらやましい話だが、苦手でないと答えた人の中には「どうせ誰も聞いていないと思う」という、端から開き直ったような冷めた理由もある
▼もちろん苦手意識のない人が、いい話し方をするとは限らない。むしろ、だらだらと冗長で、まとまりがなく、うんざりさせられることも多いのではあるまいか。得手不得手にかかわらず、簡潔でまとまりがあり、論旨が明快というのが理想だろうが、それをこなせるのは、かなりの達人というべきだろう。

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