コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2022/06/14

注目集める健康寿命

▼毎年発表される平均寿命の動向もさることながら、最近は「健康寿命」の最新データにも注目が集まる。もちろん健康な期間が長いに越したことはないが、その期間を延ばすためには、官民挙げての努力や取り組みが必要なようだ
▼健康寿命とは、仕事や家事、外出など日常生活を支障なく過ごせる期間の平均を示す年齢で、昨年末に最新のデータが公表された。3年に1度の国民生活基礎調査の結果をもとに算出し、最新データの19年時点は、全国で男性72・68歳、女性75・38歳だった
▼平均寿命との差は男性8・73歳、女性12・07歳となり、13年と19年における最長と最短の差を比べると、男性は0・34歳縮まる一方、女性は0・61歳広がった
▼健康寿命の47都道府県の順位も興味深い。前回の16年と比べ際立って上昇したのが大分県で、男性は36位から1位(73・72歳)に、女性は12位から4位(76・60歳)に順位を上げた。この躍進は偶然ではなく、以前からの取り組みの成果とも言える
▼同県では07年に全国で初めてタクシーを全面禁煙、10年からは高齢者が趣味や運動をする「通いの場」事業に力を入れてきた。14年には、現役世代をターゲットに事業所で健康づくりに取り組む制度もスタートさせた
▼男女いずれも2位の山梨県は、同じ趣味などを持つ中高年以上の人が定期的に食事や旅行をする習慣や、退職後も農業などに従事する人が多いことが上位定着の要因と考えられるという。同県は13年時点でも男女ともに全国1位だった実績がある
▼健康寿命を延ばすには、こうした自治体などの積極的な取り組みが必要不可欠だ。ただ、19年に女性が1位だった三重県は、メンタルヘルス対策に力を入れてきたものの、それ以上のはっきりした躍進の理由はわからないという
▼人生百年時代と声高に言われる割には、健康寿命は平均寿命に比べて思ったほど長くない印象もある。わが身を顧みても、健康寿命の足音がひたひたと忍び寄っている気がして、手をこまねいてはいられない気分になる。

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