コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2021/03/16

世界一のモノレール

▼灯台下暗しというのか、身近すぎてとくべつ意識せずにいるが、何かの拍子でその価値に気づかされることがある。先日、「千葉都市モノレールが〝世界一〟の称号を有する」との記事を目にして「いったい何が?」と一瞬首をひねったが、「懸垂型モノレールの最長営業距離の分野において」だという
▼ただし記事では、その分野を「ニッチなもの」とくくっており、そう言われては素直に喜んでいいものか少々考えてしまう。ニッチと言われれば確かにそうかもしれないが、そんな形容なくしても立派な世界一ではないかと、千葉市民としては声を大にして言いたくなる
▼1本のレールで運行するモノレールには、車両がレールの上をまたいで走る「胡座型」と、レールの下に車両がぶら下がる「懸垂型」の2種類ある。全国に9つあるモノレールでは、東京や大阪など胡座型が6つと多くを占める。海外も含めて主流は胡座型だという
▼千葉都市モノレールは高度経済成長期に、団地建設などによる人口急増により、市内の慢性的な交通渋滞の緩和策として計画された。既存の道路の上部空間を利用して架設し走らせるため、懸垂型では線路や支柱などの設備が鉄製で強度に優れ、しかも支柱の間隔を広くして本数を少なくできるなどの利点がある
▼1988年に2号線スポーツセンター~千城台駅間8.0㎞が開業し、99年には1号線を含めた全線が開通した。総延長距離15.2㎞で、懸垂式モノレールでは世界最長となり、2001年にギネス世界記録に認定された
▼開業後は経営難から様々な合理化策が講じられるなど、必ずしも順風満帆とはいかなかったが、改めて眺めてみれば、いまや千葉市の象徴的な構造物としてすっかり定着している。最近ではアニメやゲームとのコラボを積極的に展開し、目を引くラッピング車両でも注目される
▼1号線の延伸など更なる計画があったものの、投資に見合わないと19年に廃止が決まった。残念ではあるが、これも時代の流れで、致し方ないのだろう。

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