コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2020/04/03

千葉の地層「10選」

▼例年ならいやがうえにも心浮き立つ桜の季節であるのに、いつ収束するとも知れぬコロナウイルス禍で、今年は気分的にも晴れ晴れしない日が続く。その世界的な感染拡大の影響で、今夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックもとうとう延期に追い込まれた。1年程度の延期で決着したとはいえ、深刻な経済不況となりつつある中、五輪競技の開催地として一翼を担う千葉県でもさまざまな影響が出始めている
▼振り返れば、今年の本県は、市原市の地質年代「チバニアン」の誕生という明るい話題で幕を開けた。この話題つながりでいえば、県教育委員会がチバニアン誕生を記念して、先ごろ「千葉の地層10選」(11か所)を発表した
▼有識者が選んだ県内53地点から絞り込み、10選を決定したもので、10選と銘打つものの、選ばれたのは11地点。魅力ある地層が多く絞りきれなかったことが理由だという▼10選をみると、確かに県内にこれほど魅力的な地層があったのかと驚かされるほどだ。チバニアンの根拠となった市原市田淵の地磁気逆転地層のほか、崖面の地層が露出してそそり立つ「屏風ケ浦」(銚子市、旭市)、「鋸山の『房州石』」(富津市)、異なる岩石が不思議な形で点在する「鴨川松島」(鴨川市)
▼このほかにも「銚子の白亜紀浅海堆積物」(銚子市)、「保田層群のカオス層」(鴨川市)、「勝浦鵜原の黒滝不整合」(勝浦市)、「白浜の海底地すべり堆積層」(南房総市)、「上総丘陵の砂岩泥岩互層」(いすみ市)、「木下貝層」(印西市)、「沼サンゴ層」(館山市)が選ばれ、比較的馴染みの薄いものでも、その選定内容をみれば、がぜん興味を掻き立てられる
▼県教委では今回の10選決定を機に「もっと千葉の大地の成り立ちを実感してほしい」と話している
▼目下のコロナ禍では、会合・イベントの中止や延期、外出の自粛要請などが相次いでいる。一日も早くこの難局を脱して、大手を振って10選の現地に赴き、大地の成り立ちを満喫してみたいものだ。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ