コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2020/03/24

怒りは6秒待って

▼報道の一端を担う者としてこんなことを言うのも心苦しいが、昨今のニュースでは、明るく楽しい話題より、悲しいものややりきれないものが圧倒的に多い。加えて、腹立たしいばかりのニュースにも事欠かない
▼ニュースのみならず日常生活のレベルでも腹が立つことは少なくない。少し冷静になれば、相手が悪いとか短気の血筋だとか、そんな理由は正当な言い訳にもなるまい。そして、その〝冷静になれば〟という部分が、苛立ちを抑えるうえで重要なポイントとなるようだ
▼最近、「アンガーマネジメント」なる言葉をよく耳にする。怒りを予防し制御するための心理療法プログラムで、人間が抱える怒りや悲しみ、劣等感などを自分の中で整理し客観的に見ることで、怒りなどの強い気持ちを適切にコントロールするスキルをいう▼人間には最初に「苛立ち」「恐怖」「不安」「恐れ」「寂しさ」といった一次感情が存在し、次に二次感情としてそうしたものが「怒り」という形で噴出する。言い換えれば、怒りの裏側には「わかってもらいたい」という一次感情が潜んでいる
▼人間は怒りに対して怒りで反応する傾向があり、怒りを抱えている人は、周囲の人の潜在的な怒りも目覚めさせてしまうそうだ
▼「怒りのピークは6秒間」と言われるが、アンガーマネジメントの考え方では、カーッとなっても6秒たつと、理性が働き、怒りに任せた行動を抑えることができるとされる。怒っているときに6秒数える余裕があっての話だが、そうした対処法を知っているだけでも役に立つはずだ
▼カーッとなったときの対処法にはこのほか、怒りを10点満点で点数化する「スケールテクニック」、100から同じ数を引き算する「カウントバック」、心の中でストップ!と唱える「ストップシンキング」などがあるという
▼一人ひとりが小さな怒りを抑えることで、それが個人のレベルを超えた大きな怒りの抑制にもつながるのではあるまいか。「隗より始めよ」の精神で、まずは自ら実践してみたい。

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