コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2019/02/19

歯止めかからぬ東京一極集中

▼国が地方創生を掲げ、東京一極集中の是正を打ち出してすでに久しいが、東京一極集中の流れに歯止めは一向にかからない。総務省による2018年の住民基本台帳人口移動報告では、東京都の日本人人口は22年連続で転出より転入が多い「転入超過」となった
▼振り返れば、東京一極集中が進んだのは戦後の高度経済成長期で、1950年代後半には毎年20万人以上の転入超過だった。所得水準が高く、鉄道や高速道路などのインフラ整備も進んだ東京は憧れの的となった
▼とはいえ、東京の転入超過がその後も続いたわけではない。意外にも思えるが、60年代半ば~90年代半ばの約30年間は、ほとんどの年が転入より転出の方が多い「転出超過」だった。政府の地方活性化策などが功を奏し、東京との格差が縮小したことによる
▼これが再び「転入超過」に転じたのは、89年に昭和から平成に替わった数年後だ。バブルの崩壊で地方経済が打撃を受けたことで、地方への転出の流れが止まり、97年からは東京への転入が東京からの転出を逆転。以後、2018年まで22年間連続で「転入超過」が続いている
▼平成の30年間における東京の「転入超過」は107・2万人に上る。東京への転入数を地域別にみると、北海道10・4万人、東北24・7万人、中部32・4万人、近畿37・1万人、中国11・1万人、四国5・5万人、九州・沖縄19・8万人で、全国各地域から満遍なく転入している状況が分かる
▼一極集中の傾向は東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)でみても同様だ。平成30年間の転入超過数は東京以外では神奈川55・8万人、埼玉54・8万人、千葉44・3万人と際立っている。大阪圏、名古屋圏は転入・転出のバランスに大きな変化が生じておらず、東京一極集中がいかに特異な状況かを物語っている
▼日本の総人口は100年後には3000万人台にまで減少するという驚くべき推計値も出されている。人口減少時代に突入しても膨張し続ける東京一極集中を是正するための早急な対策が急がれる。

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