コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2018/11/27

ブーム点灯「灯台カード」

▼灯台といえば、邪魔するもののない高台に凛として建つ白いシルエットが思い浮かぶ。優美な姿で屹立するさまに孤高のイメージやや一抹の寂しさを感じる人も少なくないだろう
▼ただし灯台に対するイメージは日本と外国では違う場合が多く、米国などでは灯台に「帰還」や「祖国」のイメージを抱くという。どちらかといえば日本よりポジティブなイメージと言えるかもしれない
▼西洋式の灯台の建設が日本で始まって、今年で150年になる。海上保安庁ではこの10月から、全国各地の灯台の写真や情報をまとめた電子版「灯台カード」の提供を開始。SNSを通じてファンが広がり、「灯台女子」も現れた。こうした人気にあやかり、灯台を観光の呼び水にしようともくろむ自治体もある
▼灯台カードは、海保が管理する3000基余りの灯台のうちの150基が対象。観音埼灯台(神奈川県)のほか、北は宗谷岬灯台(北海道)から南は西埼灯台(沖縄県)まで含まれる。千葉県からも野島埼、犬吠埼、勝浦、洲埼の4灯台が選ばれている▼公共インフラを対象にしたカードには、ほかにも「ダムカード」や「マンホールカード」があり、インフラツーリズムの盛り上がりと相まって人気が高い。灯台カードは、第七管区海保(北九州市)が過去につくって好評だったため、全国版が作られた
▼灯台は言うまでもなく、夜間に点灯し、目印となることで船に自分の位置を把握させる役割を担う。しかし2009年からはすべて無人運転となり、全地球測位システム(GPS)やレーダーなどの普及で年々減り続けているのが現状だ
▼筆者も以前訪れた館山市の沖ノ島灯台が09年に点灯を停止し撤去されたときには、何とも残念な思いがした。愛らしい形状の小さな灯台で、このときには同じ館山市の布良鼻灯台とともに2基が撤去されたと聞く
▼灯台が減っていく中、せめてもファンが広がっていくことは喜ばしい。それが灯台の存続へとつながり、観光資源などとして活用されていくことが望まれる。

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