コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/11/26

読書推進への工夫を

▼旅の楽しみは数あれど、仕事柄、その土地の新聞に目を通すのが習慣になっている。たまたま伊豆を旅した折、宿で配られた地元紙に目を通していたら、県を挙げて読書推進に取り組む記事が出ていた。18歳以上を対象に自分の愛読書を勧める県民メッセージコンテストを行ったところ、大きな反響があったそうだ
▼話題を集めた理由は、サッカーJ1の磐田、清水の12選手が勧める1冊に絡めて募集したためだという。サッカーと読書とは一見特別なかかわりのなさそうな取り合わせだが、人気選手のこだわりの一冊がファンらの読書への関心を高めた。読書習慣のない人に読書の楽しさを伝えるためにも、こうした工夫は必要だろう。スポーツ選手であれ誰であれ、その言葉がファンにとって大きな影響力を持つことは言うまでもない
▼この県では、読書の楽しさを伝えるために、県内の書店有志でつくる大賞も行われているという。全国規模のこうした賞はすでにあり、話題にものぼるが、県単位での実施は珍しいのではないか。書店員がプロの目で面白い本を選ぶほか、今後は県内出身の作家や地元色の強い本の表彰も検討しているという。全国各地でこうした試みが広がり、県レベルからも読書の機運が盛り上がっていくことが望ましい
▼電子書籍の台頭が盛んに言われる昨今だが、紙の本にも電子書籍にもメリットとデメリットがある。どちらか一方が衰退していくのではなく、共存共栄の未来はないものか。我々読者の側は、むしろ選択肢が増えたことを前向きにとらえながら、その時々でより使い勝手のいい方法で読書にいそしむ機会を増やしていきたい。

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