コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/05/16

雇用所得改善と人手不足

▼世界経済の回復や市場の安定により企業経営者のマインドが改善しつつある今年は、消費者物価の上昇とともに賃上げの期待が高まっている。雇用・所得環境の改善が着実に進めば、所得・消費の好循環も期待できる
▼2016年の雇用者数は2年連続で全地域が前年比増加。南関東では15年の前年比1・2%増から16年には2・0%増に増加した
▼常用雇用指数(事業所規模5人以上)も、15年は全産業で全国2・1%増、千葉県0・7%増だったが、16年には全国2・1%増、千葉県0・4%増と2年連続の増加。建設業も15年が全国3・2%増、千葉県0・6%減が、16年は全国2・8%増、千葉県0・4%増となった
▼経済センサス従業者(09~12年→12~14年)も、全産業で全国4・5%減→3・9%増、千葉県3・6%減→3・8%増、建設業では全国10・3%減→2・5%減、千葉県9・4%減→3・5%減と改善傾向にある
▼17年も、海外経済の回復や訪日外国人増加、コト消費、20年オリパラ、地方創生などに対応した各地域・企業の活動で、雇用の改善がさらに進むと期待されている
▼一方、人口減少下の雇用情勢改善で人手不足を訴える声も多い。一部では「採用氷河期」が到来し、中小企業を中心に採用困難な業界や職種にこの波が直撃していると言われ、人材確保を経営課題ととらえる企業が急増している
▼帝国データバンクの調査では、人材採用のための新たな取り組みを行っている企業が7割強に及ぶ。最も多くの企業が行っている取り組みは「賃金体系の見直し」で、規模が小さいほどその割合が高い。企業が求める人物像は「意欲的」「コミュニケーション能力」「素直」の順で、人物像類型では「能動型人材」より「協働型人材」を選択する企業が多い
▼勤務体制の多様化や採用方法の工夫などソフト面の努力だけでは人材の確保が難しいと判断する企業が多い結果とみられ、求められる人物像ではチームワークを重視する日本の企業文化が改めて示されたと言えそうだ。

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