コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2015/10/27

ストック効果で求められる「選択と集中」

▼19日に都内で開かれた、弊紙加盟の「地方建設専門紙の会」講演会で、国土交通省土地・建設産業局建設業課の三浦逸広氏が、最近とみに注目を集める社会資本のストック効果について触れた
▼「防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化」の観点からも、社会資本整備はストック効果のあるものに「選択と集中」を徹底する。つまり、社会資本をストックとして、中長期的に経済成長を支える効果を発揮させるという考え方だ
▼そもそも社会資本整備には、フロー効果(需要創出効果)とストック効果(施設供用効果)の2つの効用・効果があるとされる。このうちストック効果は、整備された施設が機能して、長期的にその地域の生産性や安全性を高めたり、環境を改善したりすることを言う
▼三浦氏によれば、社会資本のストック効果が広く実感されてきているという。「圏央道の整備に伴う物流ネットワーク強化による、工場・物流施設の立地促進」や「首都圏外郭放水路の整備による、災害リスクの現象に伴う物流倉庫やショッピングセンターなどの立地促進」などがその例で、こうした社会資本整備への重点化が日本経済の再生に極めて重要だと強調した
▼国交省は来年度予算概算要求で、安定的・持続的な公共投資で経済再生と財政健全化の両方を実現する考えを打ち出しているが、財政健全化の部分をここまで強調するのはこれまでになかった考え方だと言う
▼さらに今後の社会資本整備では、①羽田空港の飛行経路の見直しによる発着枠拡大など、既存施設の最大限の活用、ソフト施策の徹底②首都高速中央環状線の大井JCT・大橋JCT間開通による都心の渋滞半減など、ストック効果を重視した真に必要な事業への重点化③民間事業活動の把握など民間事業者との連携――などに留意すべきと指摘した
▼ストック効果を最大限に発揮するには、どう戦略的なメンテナンスを行い、どう賢く使っていくか。社会資本の目的や役割に応じた「選択と集中」の徹底が求められてくる。

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