2011/10/31
急がれる仮設住宅受注体制
▼先月都内で開かれた「地方建設専門紙の会」の全体会議で、福島の加盟新聞社から仮設住宅に関する報告がなされた。貴重な提言として小欄でもその概略を紹介してみたい
▼そもそも応急仮設住宅は、災害協定に基づいて、都道府県が国を通してプレハブ建築協会(プレ協)に発注し、傘下の企業が生産・施工する。つまり、地元工務店などの建設業者はプレ協の下請あるいは孫請としてしか参入できないのが現状だ
▼福島県では今回の震災で1万4000戸の仮設住宅が計画されたが、県や県議会等への陳情の結果、このうち4000戸を地元の工務店等が受注できたという。県内に本店のある企業を対象に公募を行い、施工者を選定。これにより、従来のルートとは別に木造仮設住宅の建設が実現した
▼木造仮設住宅は1戸当たり600万円程度の建設費だが、通常の仮設住宅より住み心地がよく、県産材の使用などで地域経済への貢献も大きい。また地元のプレカット工場の活用などにより、工期の短縮といったメリットもある
▼今回の震災では、復旧・復興に向けた建設業者の奮闘ぶりに目を見張るものがあった。これからはいつどこで起きるかわからない災害に備えて、あらかじめ地元企業が元請として仮設住宅を受注できる仕組みを整えておく必要がある。建設業界と自治体との間で、こうした体制づくりの動きが加速し、新たな協定の締結に結びつくことを期待したい。