コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/08/01

脱原発をビジネスチャンスに

▼福島第一原発事故を受けて、脱原発の動きが広がっている。今後、脱原発へ舵を切れば、焦点は必然的に廃炉、解体ということになる。ただし廃炉には巨額の資金と長い時間が必要で、一朝一夕にはいかない
▼現在、国内で稼働中の原発は54基あり、このうち営業運転開始から30年以上のものが20基近くを占める。原発の寿命はおおむね30~40年といわれ、今回の原発事故が起きなかったとしても、廃炉・解体の問題はそう遠くなく浮上していたはずだ。それが脱原発の流れで一気に加速するのは間違いない
▼日本では、廃炉になった原子炉は解体撤去の措置がとられる。使用済燃料搬出後の標準工程は「系統洗浄」「安全貯蔵」「解体撤去」の3ステップで、このうち「安全貯蔵」には、放射能の減衰を待つために5~10年の年月を要する
▼国内で実際に解体作業が始まっているのは3基しかなく、1998年に運転を終了した茨城県東海村の東海発電所も、2003年に運転を終了した福井県敦賀市の「ふげん」も、解体期間に23~25年を見込んでいる。また、すでに廃炉が決まっている中部電力の浜岡原発1、2号機は1基あたりの費用が約1千億円ともいわれ、今回の事故で放射性物質が外部に漏れている福島第一原発の場合はさらに費用がかさむと予想される
▼いずれにせよ、原発の廃炉・解体にあたっては今後、国内外で巨額の市場が生まれる。安全第一の解体技術が不可欠だが、これに応える技術ノウハウは国内にはまだ少ないと聞く。迫りくるビジネスチャンスを逃さないためにも、諸外国に引けを取らない技術開発が急がれる。

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