コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/07/19

記録的大雨で初の実施例

▼これまで経験したことのないような大雨―。先週の九州北部豪雨に対し、気象庁はこんな表現を使って警戒を呼びかけた。わかりやすく、インパクトもある表現だと感じた。「短文」で災害への危機感を喚起する「記録的な大雨に関する気象情報」の運用を6月下旬に開始して以来、初めての実施例という
▼今回の運用では、重大災害への一層の警戒を呼びかけるため、①過去の重大な災害事例の引用②重大な災害をもたらす気象災害に関する短い解説③記録的な大雨の発生を記述④住民の避難等への留意に係る記述―について変更が加えられたが、「経験したことのない大雨」はこのうちの③に当たる
▼同庁はこれまで、災害に結びつく気象現象が発生する恐れがある場合、予想雨量や気象配置などを詳しく説明する「長文」形式の気象情報を発表していたが、「総雨量が何ミリと書かれても危険度が分からない」などの意見が寄せられていた。これに対し「短文」形式は、記録的な災害の危険性がリアルタイムで高まっていることが一目で理解でき、切迫感を素早く伝えるのに役立つ
▼一方、北風好天時には木更津市周辺で騒音が顕著になるため、同省は先ごろ、海ほたる屋上に航空灯台を設置し、富津沖海上を北上するルートを日没後も徹底させる方針を決めた。しかし、北側からの着陸機(現行4000フィート)については、同時に引き上げ試行をするのは安全上難しいとして見送られた
▼ただ、「経験したことのない大雨」を実際に経験した後はどうなるのかが気になる。その危険度レベルが上がっていくだけでは、災害規模の増長につながりかねない。同じ表現を繰り返せば、危機感が薄まる恐れもある。東日本大震災では「未曾有」という言葉が多用されたが、同じような意味でも印象はずいぶん異なる。表現によって受け手のとらえ方も変わることに留意しながら、より平明で的確な表現に努めてもらいたい。

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