コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/05/07

名湯を今に伝える狸の話

▼ 天気予報の確度がずいぶん上がった気がする。先日などは予報の通り、昼のさなかに空がにわかに暗くなったかと思うと、雷鳴がとどろき、激しい風雨に見舞われた。今月7日に北関東で起きた竜巻被害の映像を目にしていたせいで、急変する天候に怖い気さえした
▼ 竜巻というのも厄介な代物だ。局所的に車並みのスピードで通り過ぎ、住宅や大木、自動車などを吹き飛ばしていくのだから、どこに避難すべきか、はたして避難の時間があるのかどうかさえ危うい。自然の脅威は地震や津波だけではないと、改めて思い知らされた
▼ 本県でも1990年に茂原市で起きた竜巻は、1人が死亡、73人が負傷する大きな被害をもたらした。竜巻の強さを示す国際的な尺度(6段階)となっている藤田スケールによれば、その被害区分は今月7日のF2を上回るF3だった。ちなみに、同スケールは最大F5まであり、F5では、住宅が跡形なく吹き飛び、車なども遠くまで飛ばされる。毎秒当たりの風速は117~142mと、想像もつかない強さになる
▼ 日本で竜巻と言えば、地震や津波ほど身近でない感もあるが、800年前に書かれた「方丈記」には、春の京を襲った「辻風」の記録がある。〈三四町を吹きまくる間に、こもれる家ども、大きなるも小さきも一つとして破れざるはなし〉
▼ ここでもまた過去から学び、今後の教訓として生かさねばならない。しかも竜巻は温暖化が一因ともいわれ、発生件数の増加も懸念される。竜巻の予測精度を向上させ、事前に被害への備えを学ぶことが大切になる。

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