コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/04/23

海を渡った「侍」たち

▼ 制御の利かなくなったエレベーターに乗っている夢を見ることがある。別に閉所恐怖症でも高所恐怖症でもないのだから、どういうことか、フロイトにでも聞いてみたい
▼ そんな妄想も一瞬で吹き飛ばされそうな壮大な構想が発表された。東京スカイツリーを施工する大林組が打ち出した「宇宙エレベーター」構想だ。炭素繊維「カーボンナノチューブ」のケーブルを伝い、30人乗りのかごが、高さ3万6000㌔のターミナル駅まで1週間かけて向かうというもので、2050年には建設可能と位置付けている。夢物語でも絵空事でもなく、理論的にも近い将来実現可能とのこと
▼ エレベーターのケーブル全長は月までの約4分の1にあたる9万6000㌔。根元を地上の発着場に固定し、地球の自転の遠心力で飛び出さないように頂点をおもりで押さえる。途中のターミナル駅には実験施設や居住スペースを整備し、駅周辺で太陽光発電を行い、地上に送電する
▼ 宇宙エレベーターなどといえば、少し前までアーサー・クラークの「楽園の泉」などSF世界のアイテムでしかなかったが、1990年代にカーボンナノチューブが発見されて以来、米航空宇宙局(NASA)なども研究を進めている
▼ 専門家によれば、総工費は、おおむねつくばエクスプレスの建設費に相当する1兆円程度が見込まれるという。人類の宇宙への進出目的は多様化しているが、今後は人や物資の経済的で大量の搬送が不可欠になる。「宇宙へは宇宙船(ロケット)」という常識は、遠からず選択肢の一つにすぎなくなるかもしれない。

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