2012/03/27
急がれる「入札不調」対策
▼被災地の復旧工事で、建設作業員の不足などによる「入札不調」が問題になっている。国土交通省は、人件費が高騰する被災地の実情に合わせ、労務単価の見直しなどを行ったが、昨年12月の復旧公共工事の入札不調率は、被災3県で岩手16%、宮城45%、福島51%に及んだ。すでに道路や橋梁の復旧などに影響が出ており、復興の遅れが憂慮されている
▼人件費高騰の背景には、公共工事よりも民間工事が復興の先導役となっている現状がある。災害時の復旧では、市場競争のある民間工事が先行し、素早い復旧が求められるため、高い価格で発注される。民間工事の急増が建設現場の人件費や資材の高騰を引き起こし、人件費が安く見積もられる公共工事では、逆に入札が成立しにくくなる
▼初めから入札に参加しなかったり、入札の不成立を前提とした低価格での応札が増えているのは、人件費と資材の高騰などで、落札して工事を請け負っても、赤字になってしまうからとみられる。被災地では臨時作業員の手間賃が、通常なら1日1万2000円程度だが3倍から5倍にも膨れ上がっているという
▼被災地復旧のスピードアップは被災者だけでなく、多くの国民が望むところだ。民間工事も大事だが、社会資本の根幹となるインフラが整備されなくては、社会生活は成り立たない。改めて政治主導による改善策も求めたい。公共工事を中心とした本格的な復興需要は、昨年11月に成立した第3次補正が使われ出す今月以降になるとの見方もあり、当面はこの動向も注視していきたい。