コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2012/03/21

特別史跡めざす加曽利貝塚

▼縄文時代最大級の貝塚として知られる加曽利貝塚(千葉市若葉区桜木)が、国の特別史跡指定を目指して動き出した。市が新年度予算に関連予算を計上し、今後4年をかけて遺跡全体の報告書をまとめる。特別史跡は遺跡の国宝ともいわれ、全国でも61件しかなく、指定されれば県内初となる。ハードルは高いが、ぜひ実現してもらいたい
▼加曽利貝塚は古く明治時代から専門家の間で注目され、1964年に市が保存を決め、土地買収に乗り出した。直径170㍍と130㍍の馬蹄形貝塚が南北につながる形状で、貝塚の形成は約5000年前の縄文中期から約3000年前の縄文後期に及ぶ
▼貝塚は一言でいえばゴミ捨て場だが、そこからは当時の人々の様々な営みが見えてくる。海の幸、山の幸と、かなり豊かな食生活だったこともわかる。貝塚は縄文の暮らしのデータベースであり、そこに蓄えられた情報量は三内丸山遺跡をしのぐともいわれる。また、出土した加曽利E式や加曽利B式などの土器は、考古学上の編年指標として位置付けられている
▼71年に北貝塚、77年には南貝塚が国の史跡に指定され、現在は公園として13万4500平方mが保存されている。周囲では開発が進んでいるが、一歩足を踏み入れると、独特の空気感があり、おびただしい貝殻などの集積を目にすると、縄文時代にタイムスリップした気分になる。筆者の自宅からほど近いこともあり、子供の頃からよく訪れ、個人的な思い入れも深い。特別史跡への昇格が、多くの人が千葉を見直すきっかけになってほしい

会員様ログイン

お知らせ一覧へ