コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2014/06/17

神社と船の意外な縁

▼W杯ブラジル大会もグループリーグがたけなわだ。勝負事は予想通りにいかないゆえにおもしろく、ことサッカーでは「何が起こるかわからない」とよく言われるあたりが、人々の熱狂を誘うゆえんでもあろう。それでもつい試合内容や結果を予想したくなる。それは連日の報道などを見てもうなずける
▼W杯の予想といえば、前回2010年の南アフリカ大会で次々と試合の勝敗を的中させた「予言ダコ」パウルを思い出す。ドイツの水族館で飼育されていたマダコだった。興味本位で見ているうちに、いつしか、次も当ててくれと願っている自分がいた。結局、パウルはドイツ代表の7試合に決勝戦を加えた計8試合の勝敗をすべて的中させ、世界的な話題になった
▼予言の方法は、餌が入った2つのプラスチック容器の一方にドイツ国旗、もう一方に対戦相手の国旗が付けられ、パウルが餌をとるのにどちらの容器を先に開けるかというものだった。国旗の色や柄、容器の匂いなどで選択したのではないかとの見方もあるが、8試合すべてを的中させる確率はわずか0.4%というから、人智の及ばぬ能力があるのではと思いたくもなる
▼そもそもタコの知能は高く、形を認識することや、問題を学習し解決できることが知られている。身を守るために保護色に変色し、地形に合わせて体形も変えられ、その色や形を長く記憶していると言われる。3歳児ほどの知能を持つという研究者さえいる。ただしその寿命は野生で1~2年と思いのほか短い
▼相当のストレスがあっただろうに、パウルは2年9か月を生き、10年10月に死んだ。決勝のスペイン―ドイツ戦では、ドイツの敗北を予言してドイツファンの恨みを買ったり、勝利したスペインの首相が保護チームの派遣を検討したりと、人気者ながら波乱万丈の一生だった
▼いまドイツの同じ水族館では、後継ダコによる占いが行われているという。はたしてパウルの再来となるのか。パウルも天国で予言ダコ2世の活躍を応援しているかもしれない。

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