コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2014/12/15

新聞の未来はいづこに

▼このデジタル時代に、新聞の未来はいずこにあるのか。もっと突き詰めれば、あるやなしや。溢れる情報の中で、その一つひとつの重みが薄らいでいるからこそ、深く掘り下げることの重要性を痛感する
▼少し前に一般紙に載っていた、新聞の魅力を語る企画記事で、某女性シンガー・ソングライターがこんなことを言っていた。新聞をつくる仕事は音楽をつくる仕事と共通点がある。音楽はネットからダウンロードすれば、誰でもすぐに好きな曲を手に入れられるが、CDには多くのスタッフの汗と情熱が込められている。新聞づくりもこれと似ていて、ダウンロードでは伝えきれない手仕事感や頑張りが伝わる、と
▼確かに新聞の優れた点は多々あり、それはデジタル社会のただなかでも簡単に失われるものではない。たとえば、ネットの情報はピンポイントで行き当たるが、新聞を広げれば、探していた情報以外のものまで目に飛び込み、ときにはそれが思いがけない発見につながったりする。新聞の一覧性、パノラマ性のなせる業ともいえるだろう
▼もとをただせば、紙と文化のかかわりは古代エジプト時代にまでさかのぼる。最古の筆記媒体であるパピルスは紀元前4000年ごろに発明されたと言われ、英語の「ペーパー」もこのパピルスを語源とする。紙の文化は以来、現代まで連綿と続いてきた財産といえる。それが今、危機に瀕し、微妙に失われていくのだとすれば、残念と言うほかない
▼新聞にしろ、書籍にしろ、紙媒体には思索、つまり考えることを提供する役割がある。同じ記事でも、デジタルに比べて、得るまでの情報量や学習量が格段に違う。情報を瞬時にとらえ、自分に役立つものだけを得るには、デジタルは優れているが、情報をしっかり理解し、自分のものとすることでは、紙の情報に軍配が上がるだろう
▼新聞が日本語力の基礎を支えてきた、と説く識者も少なくない。新聞が最も信用できる情報源だと思ってもらえるよう、私たち作り手も気を抜かずに精進したい。

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